Vmax ステムベアリング交換

安物SSTで仕事を達成できるのか!? がテーマっす!

ベアリング打ち抜き

旧Vmax乗り (旧って付いちゃうね・・・) でセルフメンテナンスの扉を開いた方なら
いずれぶつかるであろう、ステムベアリングの壁 
一般的な構成ならなんてことない作業なんだけど、Vmaxにはちょいとやっかいな部分アリ
専用のSST(特殊工具)があればスムーズにいくんだろーけど
シロートがコレだけのために導入するにはちょい高価
だもんで、ウチ流のやり方を確立すべく道具作りに挑んだのであった
必要は発明の母なのである

まずはカンタンなトコから

アッパーベアリングレースの撤去

一年前のFフォークOH時、バラしついでにステムベアリングの具合をチェック 使い始めて6~7年のベアリングレースには若干の線状痕が付いていて、コリャそろそろ換えなきゃなぁと で、上写真が1年後、作業直前のアッパー側のベアリングレース 痕は昨年より広くなっていて要交換な状況っすね 触ってくぼんでるほどの状態じゃないんだけど、少しステムナットの締め付けが甘かったかなぁって感じの傷の広がり方だな
なにはともあれコイツをまず引き抜きっす アッパーベアリングに関しては引っ掛かりこそ大きくないけど、一般的なパイロットベアリングプーラーで対応可っす 下側からパイプなんかで打ち抜いてもいんだけど、安いものなら1500円程度で入手可能なプーラーだから、ひとつ持っておいてもいーかもね ちなみにいつものNinja号はコイツだけで上下レースを楽チンに抜き取れましたね (うらやましい・・・)
そんなワケでアッパーレースは特に難解なトコもなく抜き取り完了
でもって次は・・・

ステムシャフト01

ステムシャフトに残るベアリングの撤去っす コレはケッコウ定番かもしれないけど、まずはテーパーローラーの破壊から(上写真) ローラーを保持してる外側の金属はわりかし柔めなんでタガネ一発で割りが入ります 同様に下部も割ってローラー含め撤去
で、グリスを除去すると下写真のよーな内軸のみの状態になります ココから様々な方法で挑む方がいますね タガネで更に割りを入れてチカラ技で切り抜ける方もいれば、グラインダーで切り込みを器用に入れて撤去する方などなど どれも間違いじゃないんだけど、個人的にはできるだけシャフトにダメージを与えるリスクは避けたいトコロ
 
かといって ホンキのステムベアリングプーラー までは買えないアナタとワタシにうってつけな方法を発見! イヤ、コレは後々調べると色んな方が実践してるから新発見ではないんだけど、とにもかくにも使える方法なんでお試しあれ!

ギヤプーラー

用意するのは安物のギヤプーラー(ベアリングセパレーターとも言うみたい :上写真) 
オークションなんかで格安で入手できますね モノは安くて全然かまわないんだけどセットにもイロイロあって、ウチのヤツみたいに延長ロッドが含まれてるヤツがいーっすね まぁ更に知恵を絞って長ナットで延長ロッドを自作しちゃってもいーのか・・・
いずれにしても銀色のギロチン的パーツが肝で、コイツをローラーを撤去したベアリングに現れるリブに引っ掛けて引き抜いてやろうってワケ セットアップの方法はイロイロ考えられるんだけど、今回は左右ロッドを留める頂上のナット(銀色)を交互に締め付けて引き上げました 本来は中心のロッドを回して引き抜くのが正しい方法だと思うんだけど、ステム上でそのためのセットアップを考えるのがメンドーだったんで左右ナットを締め付ける方法としました このトキ下の長ナットが供回りしないよーにレンチで保持しつつ上部ナットを締めこんでいくのがコツと言えばコツかな

ベアリング撤去!
で、左右ナットを少しずつ締め上げると、カキン!カキン!とベアリングが持ち上がります!
ムハハハ! やりぃ
こうした整備をする方ならもうお気づきでしょうが
コレ、逆の手順でやるとベアリングプッシャーとしても使えますね
打撃を最小に抑えたステムベアリングの交換としてコイツは使えるのではないかと

でもって問題?のロアベアリングレースの撤去っす

構造の違い

Vmax乗りの方には説明不要なトコなんだけど、何ゆえしんどいかの理由をちょっとだけ
通常フレームのヘッドパイプに圧入されてるレースってパイプ内径から少しはみ出ていて(上左イラスト)
そこを打ち込んで抜くなり、プーラーを引っ掛けて引き抜くなりってのが可能なんだけど
Vmaxのロアベアリングに関してはココがパイプ内径とツライチで引っ掛かる要素がないのね・・・(上中央イラスト)
で、座面部分を拡大すると上右イラストのとーりで、合わせ部分にわずかなくぼみがあるだけっす
専用SSTはおそらくココにピタっとハマる何がしで引っこ抜くんだろーけどね
はてさてどーしたものか・・・

安物シリーズ

とりあえず当初考えていたパイロットベアリングプーラーによる撤去をテストすべく、車体にプーラーを引っ掛けてるトキ、バカヂカラが災いしたのかアームを一本破壊・・・
まぁカタチを見れば、引き抜く方向には耐えられても押し開く方向にはツラそうな構成だから、考えがあさはかだったかもね どーしよっかなぁ・・・
でも壊れたコトは他に目を向けるって意味ではムダじゃなかったよーで、最もベーシックなベアリングプーラーを凝視すると、コイツならいけそーな予感 で、用意したのがストレート製のヤツ(19-9917 下写真) 通常はベアリングの外周に引っ掛けて使うツールなんだけど、このアームを左右逆に組めば内周にも使えるのではないかと
んじゃコレまでどーしてきたかというと、某バイクショップの厚意でSSTを貸してもらい、ありがたいことにSSTへの加工(ツバの削りなど)も好きにしていーとのコト Vmax用じゃなかったんで使い勝手こそ良くなかったけど、コレで一度レースを引き抜き、新しいレースを入れる前に車体座面にマイナスドライバーがあてられるくらいの くぼみ を作って次回交換の足がかりとしていたワケっす

加工01



そんな厚意に甘え続けるのも何なんで、そのトキ得た知恵をコイツに投入してみます!
で、ベアリングプーラーの爪そのものをVmax用に最適化していきます 加工に使った武器は カンザワ ベルトサンダー10 コイツを万力に固定し、回転数を最小にしてから具合を見つつ削っていきます

完成した爪(下)と加工前の爪(上)の比較っす(下写真)
爪が水平のままだと両端しか引っ掛からないんで緩いアールとしてます

加工02



アールの形状はベアリングレースの内円に沿うよーに削っていて、爪の引っ掛かりを最大に活かそーかと 横から見ると(下写真)爪のエッジが刃物並みにシャープなのがわかりますかね? また段付きでエグっているのは車体側の出っ張りをかわすためで、このアト更に左右を少し削り、患部にカチっとハマるくらいまで追い詰めました
コレでホントにうまくいくのか!?
若干強度に不安を持ちつつも、論より証拠ってことでセットアップ開始!

いざ本番!

セットアップにあたって新たに用意したのが計6個のM8ナット 爪の付いたプレートは片方がネジ山付でもう片方がいわゆるバカ穴 コレを活かして写真のよーな構成でプレート・ボルト・ナットを取り付けます プレートを挟んで取り付けてるナットはボルトが空回りしないよう、ガッチリ締め付け(ネジ山付のプレート) で、赤丸で囲んでるナットを締め込み方向に回すことでプレートが開く方向に動き、爪がベアリングと車体の間にガシっと引っ掛かるハズ!? 
早速ナットを締めこんでいくと、プレートがハの字に広がろうとします コレだと締めこんだチカラが逃げていく格好になるんでよろしくないっす で、後々写真に登場するクランプでこの開きを制御 

この時点で自家製プーラー、微動だにしません! コリャもしかして・・・ いける?

上から打て!



少し写真ではわかりにくいんですが、プーラーをヘッドパイプ上部から覗いた状態が上の写真で、赤丸のあたり(爪のアタマ)をパイプなりをあてて打ち込んでやろーと
でもって1回目 十回ほど打ってみるとクランプの締め付けが甘かったせいか、プーラーごと脱落 ただ、手に伝わる感触的に爪の強度は問題なさそうです 

モロモロを調整して2回目
カン!カン!コン!?コン!! なんか音変わったぞ・・・ やった! レースが落ちてきた!
で、打ち続けるコト数十回 めでたくレースの撤去となりました!

外れた状態



この自家製プーラー、今回限りで使い物にならない覚悟をしてたんだけど、レースが外れたアトも写真のとーり構成を保持したまま 爪は多少ヤレたけどまだ使えそうな状態
外れると爪がどんな仕事をしていたかがわかると思います(上写真)
先述したクランプはこんな具合(下写真)で固定してました 構成を思うに、わずかでもレースが下がるコトで爪の食いつきが更に深くなり、打撃にも耐えられたんだろうと想像します コレで破壊しちゃったパイロットベアリングプーラーの仇は取れたかな?
でもパイロットベアリングプーラーもあると便利なんで、いつものNinja君に買ってもらうとします(笑)

レースの打ち込み

無事撤去できたらあとは新しいベアリングレースを打ち込んで完了!
ココはあえて詳しく説明しなくてもいーっすよね? 気の利いたプッシャーでもあればいんだろうけど、ウチでは古いレースを座金にトンカチでカンコンっす あとはNinja君自慢?の ベアリングパッカー を拝借してグリスを仕込み、車体パーツを取り付ければ完成っす ステムナットの締め込みは少しキツメにして様子見することにしました

でもって翌日早速走ってみたトコロ、低速時の切れ込み具合がニュートラルになり、ココはほぼ狙い通りかな 中高速コーナーではハンドルに伝わる挙動が抑えられてるのを確認 結果的に肩のチカラを抜いた状態でコーナーへ切り込めるんで、心理的な余力が得られましたね 帰宅後、もうちょいってぐらいに増し締めをし、晴れて完成っす
ま 厳密にはなぜかメーター灯が点かないっていう事態に陥り(笑)、その修復に明け暮れるワケですが・・・ ビバ!シロート整備!

ベアリング

どーでもいーことなんですが
今回何も考えずに純正部品としてベアリングを入手したんだけど
コレ、例えばベアリング屋さんから買うとどーなの? なんて思ってしまい、お願いしてみると
アタリマエに購入可(トーゼンだね・・・)ロア側のシール付も品番さえ間違わなければOK
でもってお値段 上下合わせて大体1500円くらい純正よか安いかな?
だもんで、近所にベアリング屋さんがあるなら俄然お得っす(但し品番は自分で調べてからだね)
でも通販なんかだと送料でロスしちゃうから、直接購入するならお得ってことで
そんな手間ヒマを思うと
バイク屋さんなら確実に入手可な純正品をあながち高価とは言えないワケっす
あなたならどーする?

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